
🍊 晩柑のタルト — 春の名残と、初夏の香りをひと皿に。
「この柑橘、なんて香りがいいんだろう。」
そんな声が、厨房で自然とこぼれたのが始まりでした。
Tawanicoの春から初夏にかけての新作は、晩柑(ばんかん)という果実をふんだんに使った、季節のタルトです。
ご存知の方も少ないかもしれませんが、晩柑は「サウスオレンジ」や「宇和ゴールド」などとも呼ばれ、国産の柑橘のなかでも少し遅れて旬を迎える、今がまさに食べごろのフルーツです。
果肉はみずみずしく、やさしい甘さと上品な酸味、すっきりとした後味が特徴。
見た目はグレープフルーツに似ていますが、苦味がほとんどなく、まるで完熟オレンジのような豊かな香りをもっています。
今回のタルトに使用した晩柑は、生産者さんから「皮までぜひ使ってください」と言われるほど手間ひまかけて育てられたもの。
栽培の際に農薬を控え、果皮にも自然な香りと旨味がしっかりと宿っています。
Tawanicoではその晩柑の魅力を余すことなく生かし、果肉・果皮・果汁をすべての層に使ってタルトを構成しています。
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一番下は、香ばしいアーモンド香るタルト台。
ここに刻んだ晩柑の果肉をたっぷり加え、焼き込むことで、ジュワッと広がるジューシーさとカリッとした食感の対比が生まれます。
焼成中は、厨房中に広がる甘く爽やかな柑橘の香りに、思わず深呼吸したくなるほど。
中間には、晩柑の果汁とピールを加えた自家製ジャムを。
甘さの中にほんの少しのほろ苦さと、柑橘ならではの立体的な酸味がアクセントとなり、全体を引き締めます。
この層があることで、一口食べたときにタルトに立体感と輪郭が生まれ、香りの余韻が長く続きます。
その上に重ねたのは、2種類のクリーム。
ひとつは、晩柑のピールを混ぜ込んだコクのあるクリームチーズクリーム。
もうひとつは、ジャムと果汁を合わせた爽やかなサワークリーム。
見た目はたっぷりでも、口に入れた瞬間すっとほどけるような軽さ。
それでいて、チーズのコクや柑橘の旨味はしっかりと感じられる。
まさに「濃厚なのに軽やか」。最後までくどさを感じさせないバランスに仕上げました。
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フォークを差し込んだ時の、タルト台のサクッとした感触。
その下から顔を出す晩柑の果肉、ツヤのあるジャム、なめらかなクリーム。
ひとくち頬ばると、まず広がるのは、まるで果実そのものにかぶりついたかのような、瑞々しい香り。
次に、アーモンドとバターの香ばしさ、チーズのコクが重なり、最後にふわっと鼻に抜ける柑橘の香り。
喉を通り過ぎる頃には、じんわりとした甘さと、微かなピールのほろ苦さが残り、もう一口…と自然に手がのびてしまうのです。
紅茶とも相性抜群。
もちろん、Tawanicoのオリジナルコーヒーとのマリアージュもおすすめです。
おうち時間に、大切な人への贈りものに、そしてご自身への小さなごほうびに。
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この季節にしか出会えない、香りのタルト。
自然の恵みと、生産者の想い、Tawanicoのこだわりを、ぜひ一口ごとに感じていただけたら嬉しいです。