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いちごとチョコのミルクレープ 

ショーケースの中で、静かに佇む一片。
光を受けてやわらかく艶めくチョコレートクリームの層と、
きめ細やかに重なったクレープの断面。

派手さはないけれど、
近づくほどに、その整った重なりが目を引きます。

薄く、しなやかに焼き上げたクレープ生地は、
指でそっと触れたくなるほどやわらかい。
一枚一枚が主張しすぎず、それでいて確かに存在している。

その間に重ねたのは、
甘さを抑え、カカオの香りをしっかりと感じられるチョコレートクリーム。
空気を抱き込みながらなめらかに仕上げ、
舌にのせた瞬間にすっと溶けていく軽やかさを大切にしました。

断面から現れる、いちごのやわらかな赤。
その色が、チョコレートのブラウンの中でふっと灯りのように映えます。

ひと口。

まず感じるのは、クレープのもちっとした弾力。
歯を入れた瞬間にわずかに戻るその食感が、
「焼きたて」の記憶を呼び起こします。

続いて、チョコレートの深い香り。
甘さは控えめで、どこか大人びたほろ苦さ。
それが口の中でゆっくりと広がり、
呼吸をするたびにカカオの余韻が鼻に抜けていきます。

そして、遅れてやってくるいちごの酸味。

みずみずしく、透明感のある酸味が、
重なったクリームの中をすっと通り抜け、
味わい全体に立体感を生み出します。

チョコレートだけでは生まれない、
いちごだけでも完成しない。
二つが重なって、初めて生まれるバランス。

トップにふんわりと散らしたチョコレートクラムは、
口に入れた瞬間にほろほろと崩れ、
クリームのなめらかさと対照的な軽やかな食感を添えます。

食べ進めるほどに、
層の重なりが舌の上でほどけ、混ざり、
味がゆっくりとひとつになっていく。

急いで食べるケーキではありません。

コーヒーをひと口飲み、
もう一度フォークを入れ、
またひと口。

そうやって、時間ごと味わっていただきたい一皿です。

冬の空気の中で、
少しだけ春を感じるような、
やわらかな光をまとったミルクレープ。

「甘い」だけではない、
静かで奥行きのある余韻。

重なった層の数だけ、
やさしさがある。

Tawanicoが大切にしている
今日という一日を重ねていく”という時間のかたちを、
そのままケーキに閉じ込めました。

フォークを入れた瞬間から、
最後のひとかけらまで。

どうぞ、ゆっくりと。
重なりを感じながら、お楽しみください。